一定期間更新がないため広告を表示しています
- | | - | -
見切り発車の創造活動
SINCE 2006.02.20 |
スポンサーサイト
2006.09.14 Thursday
一定期間更新がないため広告を表示しています - | | - | -
|
思案するシアンはルナール〜中編〜
2006.05.23 Tuesday
お久しぶりにお会いしましたね、こんにちは、ルナアルです。実はあれから何度か、飼い主さんの隙を見てお話をもう一度始めてみようと思ったのですが、お話したいことが有る時に限って飼い主さんはご在宅で、やきもきしながらチャンスを窺っていると勘違いされて散歩に連れて行かれ、帰ってくるともうスッキリしてしまっていて、その日は眠ってしまうことが多かったのです。まあスッキリしていなくても、飼い主さんが隙を見せてくれなかったりしますしね。 そんなこんなでお話には随分と間があいてしまいましたが、しっかりと思案は続けておりました。そして今日、待ち焦がれた開放のその好機にめぐり合えたという次第です。 実はこの一ヶ月ほどの間に、少々事件らしいことも起こりました。ですから、今日はまずそのことからお話して行こうと思います。 まず、一つ目は、まーくんが怪我をしたことです。 事件が起きたのは三週間ほど前の、ある晴れた日でした。まだ暖かいと形容するに相応しい太陽が、飼い主さんにも僕にもまーくんにも、そして勿論あのアメリカンショートヘアーの子にも等しく微笑みを投げかける春の日でした。 まーくんはいつものように、隣の家の縁側で寝そべって寛いでいました。まるで猫みたいでした。そこへやってきたのがカラスのサブヤンです。この二人、いつもこしょこしょ話してはくすくす笑ってばかりいるのです。僕は決して二人とも嫌いじゃないけれど、この行為だけはあまり好きになれません。何故だか僕のほうがぷりぷりしてきてしまうのです。因みに、サブヤンの本当の名はもっとうんと長いらしいのですが、彼は異国の生まれらしく、うまく言葉が通じないので僕が聞き取った彼の名前に因んでつけたニックネームがサブヤンなのです。 サブヤンが二言三言まーくんに言葉を投げると、まーくんがそれにごにょごにょ答えます。暫しの問答の後、サブヤンは来たのと反対の方向へ飛ぼうとしました。しかし、なんとまーくんはサブヤンの体をぐぅっと掴みました。一方サブヤンもその気の様子。さてはこの二人、フライト計画を練っていたのだと僕がわかったのも束の間、二人は飛翔。 飛んだ… …落ちた マー君が怪我をしたのはこういった経緯からなのです。 一昨日の夜、飼い主さんはたいへん酔っ払って帰ってきました。いつもの匂いとは違ったので、ウィスキーだけでないことは確かなのですが、僕にはそこまでしかわかりません。ただ、変わったお酒を飲んだ飼い主さんは、やっぱりちょっと、いつもとは変わっていました。 |
いぬのはなし 199×年
2006.05.11 Thursday
初めて付き合った彼女はすっごいデブ専で、俺ときたら身長170cmで 体重59キロの中肉中背の面白みの無い身体だったわけなんだけどさ、今考えるとなんで俺と付き合ったんだなんて考えなくもない。 ま、告白したのは確かに俺からなんだけど、あれは完璧に仕向けられていたし さ、だって、終電ないから家に泊めてと来て、寝るのは俺の隣で、わざわざベッ ドを空けて床で寝た俺のファックなチキンぶりが無駄な努力じゃん。ざわざわざわざわ。 童貞だった俺はそりゃあもう、ああ困ったわ、なんてしなを作るのに精一杯で目の前を見るとおっぱいがあったりして、意味不明なシチュエーションというわけで、その女とファックした。付き合った。大体終電もなにもその女、中野在住やん。隣駅やん。歩けるやん。なんてオチもあったりして本当にビッチでそんなところがジョジョ風に言えばズギューンだった。 付き合う女はこいつしかいないと確信を持って言えるのは初恋のときだけ、とは断言しないけど、世界が狭くてその分の密度の濃い感情だった。ま、結局はイビツな関係に過ぎなかったかな。スタートしたのはいいのだけどさ、やっぱり慣れてないし、気は利かないし、情熱は空回りして、とにかく不慣れな恋愛関係で俺、馬鹿ばっかりやっては彼女をがっかりさせちゃったりしてて、あせる気持ちはあった。彼女は笑わなくなったし。逢う回数も減ってるし。このままじゃイカンのですよ実際。シット。 で、初めて彼女と迎えたクリスマス。の日に振られた。他に好きな人が出来たとポツリと言って泣き出した彼女の前で泣いたら負けだと思って、俺じゃ駄目なのかと聞いて、やっぱり駄目で、そんなの判ってたけど、もう一回聞いた。俺じゃ、駄目か。泣き声が嗚咽に変わったときに、駄目なんだね、と切り出したのは俺だった。駄目なんだ。俺じゃ。でもやっぱりもう一度言った。俺こんなに好きだよ。彼女は、私も好きだよ、といういのだけど、それを聞いて俺の身体が弾けるのだけど、彼女は、好きなだけじゃ駄目なんだよ、と言って会話を打ち切った。 『好きな人』がどんなやつかはわからないけど、きっとデブだ。太ったやつに決まってる。たまたま寂しかった彼女がファックな気まぐれで俺にふらりと近づいて去っていっただけだったんだ。去ればいい。去るもの追わずだ。冬でも汗かきのデブに死ぬほど暖めてもらえばいい。そいつの方がきっと暖かい。 帰りに3000円のケーキを買った。ケーキなんて友達の誕生会でしか食べなかったけど、無性にケーキが食べたかった。ケーキが俺の一部になって俺が暖かくなればいいのに。そのあとに2人で食べるはずだったケーキを食べて少しは太ったかな、暖かくなったかな、って思った。でも身体はガタガタ震えてるし、汗もかかない。デブとは大違いだ。自分はガタガタ震えてただ涙を流すことしかできない。彼女を暖めることはできない。ジーザス。これじゃ振られて当然だ。 そんなこんなで俺の初恋はジングルベルのゴングで終了したのだけど、そんな思い出のせいでクリスマスは何だか好きになれないし、その日だけは特にケーキを食べたくない。と思ってたんだけど、ふとしたきっかけで彼女にあってつい最近に。ファックな展開。別にファックしてはいないけど。喫茶店に入っておしゃべりした時に、今好きな人いるのかって聞いたら100キロオーバーのデブと一緒に写ってる写メを見せてくれた。 暖かい人なの、と付け加えて。 俺もいつか暖かい人になれるかな。またクリスマスにケーキを食べれるようになって、暖かい人になれるかな。あの頃と何も変わってない気がするけど。でもあの頃の気持ちを持ったまま変われるなら、ひょっとしたら出来るかもしれない。少し怖いけど、出来るかもしれない。 その彼女に一つ言うなら、メリークリスマスと言いたい。 |
おじい様 〜弁明〜
2006.05.04 Thursday
はじめまして、ワタクシは闇です。特に新月の真夜中に多く含まれている闇です。このように皆様にお話しするのは初めてですので、ワタクシ、些か緊張しております。それゆえ、多少堅苦しい言い回しが含まれても、或いは逆に幼すぎる描写が見えても、是非皆様には感じて欲しいのです。ワタクシを。 今日、皆様のお耳に入れておきたい事は、他でもないワタクシの、いわば懺悔のような類の話なのです。まあお聞きくださいな。 皆様、「闇に乗じて」とよく仰いますでしょ?あれ、実は全てがメタファーではないのです。多くの方は、人間の行為を闇が見えにくくする、くらいにしか捉えていらっしゃらないのでしょうが、もともとはワタクシのおじい様の悪ふざけに端を発する言い回しなのです。 そうそう、言い忘れておりましたが、ワタクシのおじい様も「闇」でした。少々わかりにくいのですが、ワタクシたちは「闇」は襲名をしているのです。ですから常に一つの「闇」が存在する一方で、それは不変ではないのです。 さて、で、「闇に乗じる」ことについてのお話です。それを説明する事は、つまりワタクシ「闇」の役割をしっかりと把握していただくことになります。多くの方はワタクシを唯のベールだか、或いは精々一寸濃い目のベールくらいにしか感じていらっしゃらないでしょう。つまり、共通される認識は被せるもの、との認識でしょう。 しかし、ワタクシの名誉にかけて言いましょう。それは誤りです。ワタクシは、いま皆様の目の前にあるディスプレイと同じく存在しております。是非皆様に陥らないで欲しいのは、物質的という見地です。その見方は、今後我々を認識する際に全く必要でないどころか、その存在自体をあたかも無いものかのように振るまわさせる、まさにベールであるからなのです。 お喋り過ぎましたね。申し訳ない。 ただ、折角ですので、ワタクシがそこに目くじらをたてる意味がおそらくあるのだろう、くらいには感じていただけますか?有難うございます。 手短に言いますと、ワタクシが皆様を覆っているのではありません。皆様をはじめとする、森羅万象がワタクシに被さるベールとなり、まさにワタクシの上に「乗って」いるのです。それゆえ皆様は初めてワタクシに触れる事が可能となるのです。 即ち、本来ワタクシと皆様が接触する事は、ワタクシの純粋な表出を意味しておりました。しかしそこで面白い悪ふざけをはじめてしまったのが、ワタクシのおじい様にあたる、先代の「闇」でございます。 おじい様は、全てを把握できることに飽き飽きしてしまったようで、どうにかして把握できない部分をつくり、其処にエネルギーを費やし、それによって愉しみを見出そうとお考えになられました。その結果、至った結論が、考える主体としての他者の創造でありました。 もう既にお察しの方もいらっしゃるとは思いますが、これは非常に危ない思い付きでした。しかし、おそらくおじい様は愉しみと自らの存在とを天秤にかけたというだけの事なのでしょう。ワタクシも、おそらく、同じことを繰り返したと思います。勿論、ワタクシはその結果をしっているがゆえにそう思い切った事をいえるのかもしれませんが。 そんなわけで、皆様にはご迷惑をおかけしおりますが、何卒ご了承ください。でも、満更捨てたものでもないでしょう? |